赤いチャンチャンコと紫のふとん〜戸川利郎

本卦(還暦)には赤ん坊に返るという意味で、息子や娘たちが赤いチャンチャンコ(子どもの袖なし羽織)を、おジイさん、おバアさんに着せる習慣があって、昔のお年寄りは喜び、今の方は、年寄りあつかいにするな、とオコルとのことですが、土地によっては紫のフトンを贈ったりもします。

紫はひじょうに目立つ色ではありますが、ほとんど黒に近い色です。

ですから、お祝い事には紫は着ないともいわれていますが、赤外線と紫外線の中間色で、光の波長としては存在しないけれど、それだけに目にあたえる刺激は微妙で、ホルモンの分泌を促進させたり、神経を落ちつかせたり、周囲をなごやかにさせたりする色といってよさそうです。

紫のフトンに寝ると無病息災、長命延寿といわれるのも故あることで、紫雲たなびくところ、紫は高貴で上品な色とされ、高位のお坊さんは紫の袈裟をつけたりしています。

戸川利郎〜マナー講師