長寿の夫婦の渡り初め

渡り初めは、橋の開通式に初めてその橋を渡ること、またはその式典をいいますが、多くは高齢の夫婦者、または祖父母、父母、その子の夫婦と三組そろった一家族をえらびます。

新しい橋の開通は、その地域の住民にとって、きわめて大きな福祉ですが、夫も妻も長寿を保ち、開通式に招かれて、渡り初めを行なうということは、当人たちにとっても、さぞや絶大な喜びでありましょう。

この渡り初めは、かなり古くから行なわれていたと見えて、江戸の川柳(滑稽句)にも、
渡り初めすむと葬礼二つ行き(誹風柳多留)とあります。

渡り初めにえらばれて、近所の話題となった長寿者が、ぽっくり亡くなってまた話題となった、というほどの意味でしょうが、これをここにもってきたのはべつに他意はありません。

もともと川柳のことです。

ほかにちょっと適当な引用を思いつかなかったためです。

戸川利郎